生命保険論集176号に論文投稿

「ドイツ法における人の遺伝子診断法18条と保険加入 ―とくに告知義務について」というタイトルで、ドイツ法における人のGenDG18条の保険加入の際の問題点として、遺伝子検査結果の要求、受領および利用を禁止する同18条の意義と射程について、適用領域、同4条との関係、高額保険契約と告知義務という例外規定に関して整理した。

 そこでは、保険契約者の知らないでいる権利に対して、保険者の逆選択の防止や情報の対称性という利益が対立している。とりわけ、GenD18条1項による不利益禁止のための法規制と同2項による告知義務の意義やその射程の不明確さから、学説の対立があり、その結果、保険加入時の保険者側の運用によって、不利益禁止による保険加入者の保護が骨抜きにされてしまう恐れがある。すなわち、遺伝子検査には、予測的遺伝子検査と診断上の遺伝子検査があり、告知義務制度により保険者はどこまで告知を求めることができるのかが、論点となった。予測的遺伝子検査のみが禁止され、診断上の遺伝子検査の告知義務を認める説、告知義務が優先していずれの遺伝子検査についても告知義務を認める説、あるいは、予測的遺伝子検査と診断上の遺伝子検査の過程は、流動的であることから、明確な分離が行われ得ないことも踏まえて、不利益禁止原則が優先していずれの遺伝子検査についても告知義務を認めない説があった。その議論の中で、そもそも、遺伝子が何か特別な存在であると考えることの方が間違っているのかもしれないという観点から、予測的遺伝子検査の情報の不確実性、つまり、遺伝子変異が必ずしも病気発生にはつながらないということにより、リスク審査にとって有益な情報であるのか疑問も呈された。

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